法人が不動産を相続するケースは、役員や創業者の逝去に伴う遺贈や、資産管理法人を通じた相続対策など、近年増加傾向にあります。
しかし、相続によって取得した不動産は、単に保有するだけではなく、決算における適切な評価と処理が求められます。
本記事では、法人が相続した不動産に対して、2026年3月決算に向けて必要な会計・税務・法務的な対応をわかりやすく整理しました。
売却や資産整理を検討している法人担当者の方は、ぜひチェックリスト的にご活用ください。
目次
法人が不動産を相続するとはどういうことか
法人が不動産を「相続」するという表現は、法律的にはやや曖昧です。法人には相続権がないため、遺贈や譲渡という形で不動産を取得するケースが一般的です。
たとえば次のような事例が考えられます:
- 創業者の個人資産を法人に遺贈
- 代表者の死亡により資産管理法人が相続不動産を引き継ぐ
- 株主の逝去により法人が土地建物の共有者となる
これらのケースでは、登記・会計・評価といった処理が決算に大きく影響します。
相続不動産がもたらす経理・税務上の課題
法人が取得した不動産をそのまま保有していると、次のような課題が生じる可能性があります。
1. 固定資産として計上されることで、資産の重さが増す
帳簿価格により固定資産税・減価償却費などが発生し、バランスシートの圧迫要因となることがあります。
2. 含み損物件を保有し続けるリスク
相続時の評価額が高く、実際の市場価値よりも帳簿価格が上回っている場合、売却損が発生しやすくなります。
この状態では資産効率が下がり、決算評価にもマイナスとなることがあります。
3. 共有名義・未登記状態の対応
共有状態で相続された物件は、他の相続人との調整が必要です。法人が売却や処分を行うには、登記の整備が不可欠です。
2026年決算に向けた不動産処理の流れ
以下は、法人が相続した不動産を2026年3月決算に反映させるための基本ステップです。
1. 不動産の現状を把握
- 所在地、登記状況、共有関係の有無
- 相続の経緯(遺贈/譲渡/売買)
- 評価額と現時点での市場価値
2. 登記と名義の整備
法人名義になっていない場合は、遺贈登記・所有権移転登記を完了させる必要があります。
これにより、売却・担保設定・資産計上が可能になります。
3. 会計処理と減価償却の準備
法人が取得した時点で、固定資産としての会計処理が必要です。
建物は耐用年数に応じた減価償却を開始し、土地は非償却資産として資産計上します。
4. 税務顧問との連携
譲渡益・譲渡損の扱い、法人税への影響、相続時評価の確認など、専門的な判断が必要です。
決算前に税理士と綿密なすり合わせを行いましょう。
売却や買取を検討する場合の注意点
不動産を売却して現金化する選択肢は、次のような場面で有効です。
- 維持コストが重く、事業に貢献していない遊休不動産がある
- 他の相続人と物件を共有しており、管理が煩雑
- 不動産の価格下落リスクがある
直接買取の活用
仲介を通さず、不動産会社が法人から直接買い取るスキームであれば、短期間での売却が可能です。
登記済であれば、2〜3週間以内の売却実績もあります。
税務上の損金処理
相続取得時の評価額よりも安く売却する場合、譲渡損を損金として計上できる可能性があります(法人税法上の要件を確認)。
節税目的でも、今期中の売却を視野に入れる法人が増えています。
よくある質問
法人が不動産を「相続」することは可能ですか?
法的には「相続」は個人に限られますが、遺贈や贈与、信託などを通じて法人に所有権が移転されるケースは存在します。
2026年3月決算までに反映させるにはいつまでに動けばよい?
1月中には査定と社内調整を完了させ、2月上旬までに売却契約→3月中に引渡し完了が現実的なスケジュールです。
共有名義の相続不動産は売却できますか?
共有者全員の同意があれば売却可能です。合意が難しい場合は、持分のみの売却や、買取業者との交渉も視野に入ります。
まとめ
法人が相続した不動産を、決算期(2026年3月)までに適切に処理することは、税務リスクの回避、資産効率の向上、そして経営判断の明確化につながります。
- 登記・会計・税務の3点を早期に整理
- 使わない不動産は現金化・損金処理も検討
- 専門家との連携を早めに進める
対応が遅れると、決算に反映できないばかりか、税務調査や帳簿上の資産圧迫リスクにもつながりかねません。
まずは現状整理と、社内・専門家との情報共有から着手し、早めの対応を心がけましょう。
