相続や離婚、共同購入などで発生する共有名義の不動産。なかには「自分の持ち分だけを売却したい」と考える方もいらっしゃいます。しかし、持ち分だけを第三者に売却する場合には、さまざまなリスクや制限が存在します。
この記事では、不動産の「持ち分だけ売る」際に発生しやすいトラブルや、法的・実務的な注意点を詳しく解説します。
目次
共有不動産の「持ち分」とは?
「共有名義」の不動産では、それぞれの名義人が一定の割合で所有権を持っています。この割合を「持ち分」と呼びます。たとえば、兄弟で不動産を相続し、持ち分が50%ずつであれば、双方がその不動産の半分ずつを所有していることになります。
この持ち分は、登記上の権利として個別に譲渡や売却が可能です。ただし、自由に売れるからといって、トラブルなく進むとは限りません。
持ち分だけ売却することは可能か
法律上は、自分の持ち分のみを売却することは認められています。共有者全員の同意がなくても、売却自体は可能です。
しかし、注意すべきは「誰に売るか」です。共有者に売る場合は比較的スムーズですが、第三者へ売却する場合は新たな共有者が生まれるため、権利関係がより複雑になります。
持ち分売却における主なリスク
持ち分売却には、次のようなリスクがあります。
1. 売却価格が安くなる傾向がある
持ち分だけの不動産は、単独では利用価値が低く、市場でも買い手が限定されます。そのため、売却価格は通常よりも大きく下がることがあります。
2. 買主と他の共有者の間でトラブルが発生する可能性
第三者が持ち分を購入しても、不動産全体を自由に使用できるわけではありません。共有者間での使用方法や修繕費の分担などで対立が生じやすくなります。
3. 売却後も関係が完全に切れないことがある
売却後も、買主が不動産の使用や処分に関して既存の共有者と交渉し続ける必要があり、トラブルの火種になる可能性があります。結果として、元の所有者に話が戻ることもあり得ます。
持ち分を売却する際の注意点
持ち分のみを売却する場合、以下の点に注意してください。
- 他の共有者に先に買取の意思がないか確認する
- 持ち分の評価額が相場より大きく下がることを理解しておく
- 買主が「投資目的」「立退き目的」の可能性がある場合は慎重に
- 契約内容や権利関係を明確にするため、専門家の関与を必ず得る
特に、感情的な対立がある場合や、相続した物件などでは、冷静な第三者(不動産会社・弁護士・司法書士など)を交えることでスムーズに進められる可能性が高くなります。
持ち分売却以外の解決方法
以下のような選択肢も検討に値します。
1. 他の共有者に買い取ってもらう
まずは既存の共有者に買い取ってもらえないか相談しましょう。相場に近い価格で交渉できれば、トラブルを最小限に抑えることができます。
2. 共有者全員で不動産を売却する
共有者全員の合意が取れるなら、不動産全体を売却して現金を分け合う方法が最もシンプルかつ合理的です。
3. 裁判所を通じた共有物分割請求
合意が得られない場合、家庭裁判所に申し立てて「共有物分割訴訟」を行うことも可能です。ただし、時間と費用がかかるため、事前に法律の専門家へ相談することが必要です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 持ち分だけを売却しても、買主はその不動産に住めますか?
いいえ。単独での使用権はなく、他の共有者との合意が必要です。勝手に住むことはできません。
Q2. 相続で取得した持ち分だけを売却する場合も同じですか?
はい、同様です。相続による取得でも、持ち分の扱いは変わりません。共有者の構成によって難易度が異なる場合があります。
Q3. 売れない場合はどうすればいいですか?
共有者と話し合って全体売却を検討する、もしくは弁護士等を通じて分割請求などの法的手段を検討する必要があります。
まとめ
不動産の持ち分だけを売却することは法的に可能ですが、さまざまなリスクや制限を伴います。特に、売却価格の大幅な低下や、買主との関係悪化、トラブルの発生などが代表的な問題です。
こうした事態を避けるためには、まず他の共有者と冷静に話し合い、全体での売却や持ち分譲渡の可能性を探ることが有効です。また、専門家を交えたアドバイスを受けることで、より納得感のある解決が図れます。
持ち分売却に関するお悩みやご相談がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門スタッフが丁寧にサポートいたします。
