住宅ローンの返済が難しくなったとき、「任意売却」と「個人再生」という選択肢があります。
どちらも借金問題の解決に有効ですが、目的や効果が異なります。では、これらを併用することはできるのか?もしできるとしたら、どんな注意点があるのか?
この記事では、不動産と債務整理の両方に精通した立場から、任意売却と個人再生を併用する方法や実務上の注意点をわかりやすく解説します。
目次
任意売却とは?個人再生とは?
任意売却とは
住宅ローンを滞納し、残債がある状態でも、債権者(主に金融機関)の同意を得て、不動産を市場価格で売却する方法です。
- 競売よりも高く売却できる可能性がある
- 周囲に知られにくく、条件面で柔軟性がある
- 売却後に残債があっても、分割返済や免除の交渉が可能
個人再生とは
裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済する法的な債務整理手続きです。
- 借金総額を5分の1〜最大10分の1程度に圧縮
- 継続的な収入が必要
- 住宅ローン特則を使えば、住宅を手放さずに済む可能性あり
つまり、「任意売却」は不動産の処分による問題解決、「個人再生」は借金の再構成による解決です。
任意売却と個人再生は併用できるのか?
結論:任意売却と個人再生の併用は可能です。
ただし、以下のような前提条件や注意点があるため、正確な理解と段取りが重要です。
併用が有効なケース
- 住宅をすでに手放してもよいと考えている
- 任意売却で住宅ローンを完済できない(オーバーローン)
- 住宅ローン以外にも多重債務を抱えている
任意売却で住宅を売却し、それでも残った債務を個人再生で整理する――この流れが典型的な「併用ケース」です。
併用する場合の一般的な流れ
1. 専門家(弁護士・不動産会社)へ相談
任意売却と個人再生はそれぞれ専門性が高く、連携が不可欠です。どちらの経験も豊富な専門家に早めに相談しましょう。
2. 任意売却の準備と実行
金融機関との交渉、査定、買主の選定、契約までを実施。売却金額や残債を確定させます。
3. 個人再生の申立て
任意売却後、確定した債務額をもとに裁判所へ申立てを行います。必要書類や収入状況の確認が求められます。
4. 再生計画の認可・返済開始
再生計画が認可されれば、月々の返済額が大きく減り、生活再建が可能になります。
実務での注意点とリスク
① タイミングを間違えると再生ができない
任意売却のタイミングや申立ての順番によっては、個人再生の手続きに悪影響を及ぼす可能性があります。特に資産評価額の扱いに注意が必要です。
② 住宅ローン特則は使えない
任意売却により住宅を手放す場合、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は利用できません。住宅を残したい方は要注意です。
③ 担保解除の交渉が難航することも
債権者が任意売却に応じない場合、スムーズに処分できないケースもあります。
④ 家族の理解と協力が不可欠
手続きが長期に渡る場合もあるため、精神的な負担も考慮し、家族との情報共有をしておきましょう。
併用のメリット・デメリット
メリット
- 競売を避けられ、条件の良い形で不動産を売却できる
- 住宅ローン以外の借金も減額できる
- 計画的に生活を再建できる
デメリット
- 信用情報に事故情報が登録される
- 法的・実務的に手続きが複雑
- 専門家のサポートが不可欠で、一定の費用がかかる
よくある質問(Q&A)
Q1. 任意売却と自己破産は併用できますか?
はい、可能です。ただし、破産申立ての前に売却を行う必要があり、管財事件に該当する可能性もあるため、弁護士の関与が必須です。
Q2. 任意売却後、すぐに個人再生を申立てる必要がありますか?
できるだけ早い段階で申立ての準備を始めるべきですが、売却完了後の負債額を確認したうえで申立てることになります。
Q3. 任意売却で売れなかった場合はどうなりますか?
競売に移行する可能性があります。そうなると個人再生での再建は難しくなるため、売却活動はスピーディかつ慎重に進める必要があります。
まとめ
任意売却と個人再生は併用可能ですが、それぞれの制度を正しく理解し、計画的に進める必要があります。
任意売却で住宅を処分し、残った借金を個人再生で整理するという流れは、経済的・精神的ダメージを最小限に抑え、生活を立て直す有効な手段です。
ただし、法的・実務的な手続きは複雑で、適切な順序と専門家の支援が不可欠です。
住宅ローンの支払いに不安を感じている方、借金問題でお困りの方は、まずは実績ある専門家に早めの相談をおすすめします。
どんな選択があなたにとって最善か、一緒に見つけましょう。
