多重債務や収入減により自己破産を検討している方の中には、「今の家に住み続けたい」「子どもの学校の関係で引越しは避けたい」と考えている方も少なくありません。
2026年現在、自己破産の制度は「債務の免除」を目的とする一方で、原則として資産(不動産含む)は処分対象となるため、マイホームを残すことは非常にハードルが高いのが現実です。
しかし、特定の条件下では住宅を維持できる可能性もあります。この記事では、2026年時点の法制度や実務に基づき、自己破産と住宅の扱いについて詳しく解説します。
目次
自己破産の基本と不動産の扱い
自己破産は、裁判所を通じてすべての借金(法的免責可能なもの)を帳消しにする制度です。その代わりに、債務者が持つ一定の資産は換価処分され、債権者に配当されます。
基本的なルール
- 持ち家は「資産」として評価対象
- 住宅ローンが残っていても処分対象になる
- 不動産がある場合、多くが「管財事件」となり、破産管財人が売却を担当
つまり、自己破産をして住宅をそのまま残すのは原則として困難ということです。ただし、以下に紹介するような例外的な対応で住宅を残せるケースも存在します。
住宅を残せる可能性がある3つのケース
1. 家族や第三者による「任意買取」
破産手続きの過程で、配偶者や親族など第三者が住宅を適正価格で買い取ることで、住み続けられる可能性があります。
注意点としては:
- 買主が「資金の出所」を明確に説明できること
- 時価での売買であること(贈与や安売りは禁止)
- 破産管財人の承認が必要
2. 名義が本人でなく、破産財団に含まれない場合
住宅の名義が最初から本人以外(例:配偶者単独所有)であり、ローン契約や登記にも関与していない場合、財産として扱われないことがあります。
ただし、実質的に所有・使用していると判断されると対象になることもあるため、慎重な確認が必要です。
3. 賃貸物件であれば居住継続可能
これは厳密には「住宅を残す」というより、「今の生活を維持できる」ケースです。自己破産をしても原則として賃貸契約は解除されません。ただし、家賃滞納や保証会社との契約内容によっては注意が必要です。
住宅を無理に守ろうとするリスク
「どうしても家を残したい」という気持ちは自然ですが、制度上無理をすると、重大なリスクが生じます。
詐害行為・免責不許可事由になるリスク
- 親族名義に変更して隠す
- 不当に安い価格で売却
- 資産の一部を申告しない
こうした行為は破産手続きが打ち切られる・免責が認められないといった結果につながる可能性があります。
住宅ローンを払い続けることで生活再建が困難に
住宅を維持しようとしてローン返済を続けると、他の生活費や再出発に必要な資金が不足するおそれも。冷静にトータルの再建計画を立てることが重要です。
住宅を守るための代替策
住宅を「絶対に守る」ことは難しくても、なるべく負担を抑えて生活を再建するための選択肢は存在します。
① 個人再生(住宅ローン特則の利用)
一定の収入があり、住宅ローン以外の借金が多い場合には「個人再生」が有力です。
- 住宅ローンは継続して支払い
- 他の借金は大幅に減額(5分の1など)
- 住宅を手放さずに債務整理が可能
「破産ではない再建型の制度」であり、2026年時点でも引き続き活用が進んでいます。
② 任意売却 → 家族名義で再取得
競売よりも高値で売却しやすく、タイミングも選べるため、住宅ローン返済に行き詰まった段階での選択肢として有効です。
親族や第三者による買い取りで住み続けるケースも現実的に存在します。ただし、税務や贈与の観点から慎重な設計が必要です。
③ 社会的制度や支援団体の活用
母子家庭、高齢者世帯など、社会的弱者向けの支援制度や住居支援も自治体ごとに存在します。再スタートの一助として検討しましょう。
相談から破産手続きまでの流れ
- 弁護士・司法書士への相談
- 資産・債務の洗い出し(不動産の評価含む)
- 住宅の扱い方を検討(売却・維持)
- 破産申立て書類の準備・提出
- 破産手続き開始・管財人の選任
- 免責審尋・免責決定
ポイントは「住宅の扱いをどうするか」を初期段階で専門家と整理しておくことです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 自己破産をしても住宅ローンだけ支払い続ければ家は残せますか?
できません。自己破産では住宅ローンの支払い義務も免除されるため、ローンがある場合は不動産は債権者が回収・処分します。
Q2. 名義変更をして家を守ることはできますか?
法的には可能ですが、破産前の名義変更は「詐害行為」とみなされやすく危険です。適正な手続きと価格での処理が前提になります。
Q3. 自己破産後に住宅を買い戻すことはできますか?
数年後、信用情報が回復し、収入や資金が安定すれば可能性はあります。ただし、金融機関の審査基準をクリアする必要があります。
まとめ
2026年現在、自己破産をしても住宅を残すのは原則として難しいものの、第三者による買取や制度の適切な活用によって可能になるケースも存在します。
ただし、安易な隠匿や無理な維持は破産手続きに支障をきたし、免責が認められないリスクにもつながります。
家族構成・収入・借入状況・不動産の資産価値などを総合的に判断し、専門家のアドバイスを受けながら最善の方法を選ぶことが重要です。
今の家を守るかどうか悩んでいる方は、まずは早めに信頼できる専門家へご相談ください。選択肢が多いうちに動くことが、将来の安心につながります。
